The Best of DE10 Gallery

流氷ノロッコ2016

暴風雪の中を猛然とプッシュする1660号機

 

 昨年、遠征を計画したものの見事に暴風雪で飛行機が欠航となり実現しなかった流氷ノロッコ撮影ですが、今回1年振りのリベンジを果たせました。1泊2日の強行軍です。カマが廃車予定(当時の報道発表ですが、実際には廃車にならず・・・)で後任のDE152527は冬期ラッセル運用に入るとノロッコに使用不能になるとの事で流氷ノロッコ号は今回が最後との事。一応、国鉄色の1660号機が重連でタキやトキを牽引して釧路湿原を行く光景をリアルに撮影している管理人としては最後の光景を眼に焼き付けるべく女満別空港へ降り立ったのであった。

 初日はノロッコ3号〜回送と追っかける予定で、まずは止別川橋梁で構える。が、待っている間にみるみる天候が悪化してDE10が通過する頃にはフィルムの使用が限界な状態に。網走方にDE10が連結されているので最後尾の1660号機はもう雪まみれで凄い事になっていました。列車は少し遅延気味で猛然と煙を上げながら橋梁通過。ある程度シャッター速度は速めにしていたので事なきを得ました。

 

 知床斜里駅停車中に天候が若干持ち直しましたが、とても山は拝めない状態。中斜里付近で釧路へ戻る回送撮影を試みるもISO4000という終わった露出。バルブ撮影に方針を転換し釧路方面へ向け追走を開始するが、清里町から野上峠越えは路面が完全ツルツルで2輪駆動のレンタカーには若干辛い状況でしたが、峠を越えると路面がドライに近い状態に一変。超安全運転(?)で川湯温泉到着には間に合うものの、雪原漕ぎをしてDE10に近づいている最中に時間が来て列車発車。(涙)

 摩周駅に行くとホームから外れて撮れない位置であるが、駅裏の駐車場から雪原漕ぎすればイケそうな感じなので三脚片手にラッセル開始。今回は長靴のみの軽装備なのでズボズボ埋まる。何とか辿り着いたものの、管理人のニコンD4とニコンF6は果たして動作するのだろうかと思いつつ、カメラをセットする。指が寒さでダイヤルやボタンを上手く操作できないほど冷え込んで来た。(この時点で-15℃)今回は今まで使っていたニコンMC-30に変わって改良型のレリーズであるMC-30Aを本格投入してみた。最近はしばらく無線式のWR-R10を使用していたのだが、雪原上で落とすと捜索困難になる事が判明し、今回は有線式レリーズにしたわけである。旧タイプと違ってコードが硬化して折れる事も無く、異常なく使用できたのでホッとしています。カメラの方もいつも通りの動作で、ニコンD4に至ってはあれだけライブビューやらイルミネータを使った割にはバッテリーが全然減っておらず驚愕。さすがはプロ御用達機は違うなあと痛感しました。撮影に没頭していてふと気がつくと冷え込んで来たようでフル装備なのに寒くなって来た。頭上を見ると物凄い星空で、明日はやべーんじゃないかと星空を見上げながら撤収。寒い寒い言いながらも1時間近くバルブをするエキサイティングな撮影となった。

静かな町内にDML61ZBの喧噪のみが響き渡る

 前夜は道の駅パパスランド札弦の温泉でプカプカ浮かんで疲れを癒し、防寒着フル装備+寝袋+ホカロン4個放り込んでエンジン停止して眠りについた。最初はあんまり寒くなかったので「なんだ、これなら余裕だぜ」と眠りについた。(この時点で-16℃くらい)

 何だか異様に足元が寒いなあ、そして鼻先が痛い。(頭からネックウォーマーを被り鼻だけ寝袋の隙間から出していた)起きて携帯の時刻を見ると3:50。目覚ましを解除しようとしたが、何とボタンが凍って押せない!そのうち4時となり目覚ましが作動するが解除できない。慌てて寝袋内で暖めたら何とかボタンが押せるようになったので事なきを得たが、焦った。 車のパネルに装備されている外気温表示を確認すると、-25.7℃の表示。おお、車中泊の最低温度更新だ、昨晩弟子屈のセイコーマートで買っておいたお茶もおにぎりも凍っていた・・・。この温度でも通常通りメールを受信して目覚ましやら自動終了&起動(ブラウザクリアのため、真夜中に自動で行うよう設定しています)を行う携帯電話のタフさに感心した。

 とりあえず寒いしフロントガラスが内側から凍って見えないのでレンタカーのエンジンを起動するが、完全にコールドスタート状態なので吹き出し口から温風が出て来るまで時間がかかり、ようやく温かくなったころ空も白んで来た。周囲を見回すと朝焼けに斜里岳がクッキリ見えるではないか。これは・・・と思い、光線は若干悪いものの、中斜里〜知床斜里で山バックに撮影しようと即決。凍っていたフロントガラスもようやく見えるようになり、移動を開始。撮影地で待っている間、朝陽が当たる斜里岳を見ながらニヤニヤが止まらなかった。ふと撮影地の道路から正面を見ると海別岳の背後に知床岳がクッキリ見えるではないか!「おいおいおいおい・・・やべーよ!」 いつも霧や雲に覆われて天辺が見えないイメージの知床岳が見えている。これでエレクトしない奴は鉄道マニヤ失格である。列車はほぼ定刻で雪煙を上げながら軽やかに通過。うーむ、決まったな・・・。

久々の斜里岳クッキリに気合いが入ります

こうなると知床斜里〜止別の直線に行くかと車を走らせ撮影地最寄りの農道へやって来た。ここから先は除雪がまったくされていないので、カメラバッグからカメラ2台と使いそうなレンズ数本をリュックに詰め込み、三脚をストック代わりに林道へ入る。すぐに膝ぐらいまでズボズボ埋まり、10m進むのにも難儀する。普通なら徒歩10分位で行ける距離をズボズボ埋まりながら進む。そのうち上り坂になり、腰以上の高さまで埋まりながら進む事態となり、氷点下なのに汗びっしょり。予定していたノロッコ2号は無理そうだったので線路際に到達して広角レンズで海バックで撮影し、列車が通過後に撮影地へ向け再びズボズボ埋まりながら雪中行軍を再開。

線路を見渡せる丘に立つと人工物は線路と通信ケーブルのみで荒涼としたオホーツク海と知床半島が先端までクッキリ見える犯罪的な光景。普段北海道へ何度も来ている人間でもここまで良いコンディションを拝めるのは中々ないと思います。流氷が接岸していれば文句無しでしたが、それは贅沢というもの。後打ちとなる1号とDE10先頭で来る4号をメインでセッティングをするが、この光景だとどの列車でも似合う。快速しれとこ号で知床岳バックも撮れ、一気に宿題が片付いた感じでした。この日は超望遠でド直線を狙う方と山バックで狙う方と管理人の合計3人でした。撮影地では色々お世話になり、かつ楽しいお話どうもありがとうございました。

流氷はまだでした

最後のノロッコ3号はどうしようかと考えながら国道244号を走り、北浜駅へとりあえず行ってみた。が、北浜駅は俗悪な観光地と化していてひっきりなしに大型観光バスが乗り付けられ、大量の外国人観光客で埋め尽くされている。何だか銀座見たいな光景だ・・・旅情もへったくれもないし興醒めです。仕方ないので駅から少し離れた海岸でど広角でDE10かぶりつきにしてオホーツク海と知床半島を入れようという考えがまとまり、三脚片手に海岸へ。途中で雲がかかり始めた知床半島であるが、午後になってもその姿は健在である。冬場のオホーツク海とDE10が撮れるのもこれで最後になるのか・・・今までおなじみ列車が走らなくなるのは寂しいものであるが、これも時代の流れなのかと思いつつ。DE10が目の前を通過するのを待ち、ニコンD4の11コマ/秒で切り取る。海岸は何も遮るものがないので、遥か彼方に小さく見えるDE10をしばらくカメラも片付けないで見えなくなるまで眺めていたのであった。

まだ知床半島が見えていました

 

 

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